愛犬を動物病院嫌いにさせないために


ほとんどのイヌは、動物病院が好きではありません。動物病院を怖がっているイヌも少なくありません。しかし、これは当然のことでしょう。だってイヌは楽しいことが好きで、怖いことが嫌いだからです。

愛犬たちが動物病院に行くと高い台(診察台)に乗せられたり、あちこちいろんなところを触られたり、とがった針(注射針)でチクチク刺されたり、変な味の食べ物(薬)を口の中に放り込まれたり、と予想外の嫌なことばかり起ります。

人間のように、「いま、少しぐらい嫌な思いをしても、病気を治してもらって痛みや不快感から解放されるのだから我慢しよう」などという理性的な思考はこれっぽっちも湧きません。なかにはされるがままの状態で診察や治療が終わるまでじっとしている愛犬もいます。でもそれは、決して楽しんでいるわけではなく、苦痛に耐えているだけなのです。

そんな愛犬たちを見ている飼い主さんのなかには、なんだか病院に連れて行くのが可哀想だ、と思いはじめる方もいるようです。しかし、動物病院で治療をすることで、愛犬の疾患が治り、不快な体調が改善されるならば、やっぱり通院した方がよいのではないでしょうか。

では、動物病院が愛犬にとって“楽しい場所”とまではいかなくても、“それほど嫌な場所ではない”と思わせるためにはどうしたらよいのでしょうか。

ストレスを過度に感じるイヌのなかには、動物病院に着くだけで不快感を持つ場合もあります。「あそこ(動物病院)に行くと嫌なことが起る」というイメージが、愛犬にうえつけられているからです。

逆に、「動物病院に行っても、いつも悪いことが起こるわけじゃない」というイメージの方が強くなれば、愛犬が過度に不安になることを防ぐことができます。

たとえば、動物病院が近くにあるならば、毎日の散歩コースを動物病院を通るルートにしておけば、病気で通院するときにも不安は感じないでしょう。散歩の途中、動物病院の前でおやつをあげるという習慣づけも効果的です。

車で通院する場合は、通院日以外にも愛犬を車に乗せて動物病院へのいつものルートをドライブして、そのまま動物病院を素通りして帰宅してみましょう。愛犬に「なんだ、この道を通っても嫌なことは起こらないんだ」と思わせるのです。また、通院以外でも車に乗って出かけて、公園や河川敷で愛犬と遊んで「車で出かけると楽しかった」という印象を強くするのもよいでしょう。

また、動物病院を受診した際に、病院内でご褒美のおやつを与えたり、獣医師や看護師におやつを与えてもらうのも、愛犬とスタッフのコミュニケーションが深まる方法のひとつです。犬にとって、動物病院はご褒美をもらえる楽しい場所、と感じられるかもしれません。

さらに動物病院のスタッフの了解が得られるならば、通院時以外(たとえばフードを買いに行くときなど)にも愛犬を同伴して、動物病院のスタッフとスキンシップをとることなども。

最近では、パピークラス(仔犬)も含めて動物病院で愛犬のしつけ教室が開かれるところもあります。こうした催しに参加すると、愛犬にとって、動物病院が獣医師や看護師たちとのふれあいの場所となって、楽しい場所と思うでしょう。

愛犬が動物病院を怖がらない工夫してみると、愛犬の気持ちも変わっていくでしょう。そして、飼い主さん自体が不安にならないこと。これが一番大事だということを忘れないでください。(R)

写真提供:フォトライブラリー http://www.photolibrary.jp/

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